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設計料の積算根拠

設計事務所としての業務が、建築主の要望に基づく設計図書の作製および工事中の現場の監理ということを考えますと、設計事務所の設計・監理業務に対してお支払いいただく報酬(設計料)のほとんどが人件費と言えます。ですので手間や時間がかかる作業が多いほど設計料は高くなります。

実務日数で設計監理料を検討する

純粋にかかった手間に対して設計料を算出するのが理想です。しかし、実務日数(時間)で清算した場合、本当に手間がかかって時間が必要な場合は良いのですが、知識不足や建築主との意思の疎通がうまくいかずノロノロ、もたもた時間がかかっても設計料が高くなるという不都合が生じます。

かかった時間は建築士の自己申告となり、第三者的な根拠に乏しいと言えます。設計監理料の決定は、建築主と建築士の間に大きな信頼関係に基づくこととなります。

また、設計監理業務を終えないと実際の日数は分かりません。ということは、設計の契約時に設計料を決定することができず、最終的に清算する必要が生じます。

設計監理料を日数(時間)で清算するのは困難なように思います。

工事金額で設計監理料を検討する

時間以外の指標で設計の手間を把握する必要があります。そこで、「工事金額の何%」という算定式が多く用いられます。

しかし「一律に工事金額の何%という一定の割合」で設計料を算定した場合、標準的な住宅と比較してローコスト住宅として工事金額を少なくするために手間と工夫をすればするほど設計料が安くなるという矛盾が生じてしまいます。

たとえば同じ35坪の平面形状である住宅で、A:ローコストを追及した55万円/坪(計1925万円)の住まいと、B:高級な建材を用いて100万円/坪(計3500万円)の住まいを考えた場合、設計監理料を工事金額の10%として、Aの住宅の設計料はおよそ192万円、Bの場合は350万円と算定され、158万円の価格差で約1.85倍の違いが生じます。そもそも、本当に坪単価の高いB住宅のほうが設計の手間がかかるのでしょうか?根拠とするには乏しいといえます。

また、施工業者が決定し正式な見積りが出てこないと工事金額が決定しません。ということは、設計の契約時に設計料を決定することができません。

設計監理料を工事金額に比例させるのも矛盾があるように思います。

建物の規模で設計監理料を検討する

建物が大きくなれば、構造的にも複雑になり検討課題も増えるでしょう。大きな住まいでは部屋数が多いでしょうし、動線や環境などを考えるのも難しくなりそうです。法令の検討も大きな建物ほど複雑になります。ひとまず、建物の規模と設計の手間が比例しそうです。

しかし、一般的な住宅の場合、浴室・キッチンなど住まいの大きさに関係なく最低限必要な機能があり、それらに対しての検討は建物の大きさに関係ありません。このような建物の規模にかかわらず必要な業務は他にもありますので、規模の小さな住宅ほど最低限必要な業務の占める割合が増える傾向にあります。

例えば、ご夫婦と子供2人の家庭が生活するために、一般的にはLDK(キッチンを含む)と洗面・浴室、トイレ、納戸に寝室と子供部屋が2部屋の35坪の住まいが標準でしょうか。子供が独立し、ご夫婦二人で生活するための住まいを考えた場合、上記の住まいから子供部屋2部屋を除くと、およそ23坪ほどの住まいになります。

35坪が23坪に0.65倍の小さな住まいになりますが、キッチン・洗面浴室・トイレと機能の密集した空間はほぼ同じで大差ありません。建物が小さくなるに比例して、設計の手間が少なくなることはありません。狭小住宅を考えるほうが、かえって難しい場合もあります。

そこで基本料金(最低料金)を設定し、建物規模に応じて設計監理料を算定させていただいています。