犬と一緒に暮らす
太古から人間と一緒に暮らしてきた犬は、とっても身近で人間の暮らしにも適応しやすい動物です。人間の住める環境には、ほとんど問題なく適応できるしょう。それでも、暖かい環境を好む種類や反対に苦手な種類がいるので、多少温度環境を整える必要があるかもしれません。
これといって建築的に必要なことはありませんが、犬にとってより良く、飼い主にはよりメンテナンスをしやすくすることはできます。
犬の領域
室内で犬を飼う場合、犬が自由に歩き回ってもよい領域を決めてあげたほうが良いのではないでしょうか。貴重なものが置いてある部屋、汚されては困る部屋などは、物理的に近づくことができないようにしましょう。
犬の領域内には、コンセントや物などいたずらされて困るものは、隠すなどの対処や基本的には置かないようにしたほうがよいでしょう。
犬用ドア(ペットドア)
犬の領域を設定し、既存の扉で対応できない場合は、必要に応じて専用の扉を準備してあげればよいでしょう。
犬が出入できれば、もちろん人間も出入できるので外部との出入口は慎重にしなければなりませんが、室内で犬の領域内は自由に動き回れるように犬用開口部(ペットドア)を設けておくのも良いかもしれません。ただし、留守番などで1箇所にいてもらいたい場合もあるでしょうから、施錠ができる物が好ましいのではないでしょうか。
床について
屋外では靴を、室内ではスリッパを履いて生活する人間と違い犬はいつも素足です。その足にはとがった長いツメが生えています。そのツメは猫と違って収納できません。犬の領域内の素材は、耐汚染性や安全性・耐久性が重要視されます。
床に関する問題点
散歩から帰ってくれば足を拭いたり、洗い場で洗いますが、それでも床は汚れやすいはずです。またツメにより、傷がつきやすいのである程度の硬さと耐久性が重要です。畳のような柔かい材質だと、ツメが当り比較的早く擦り切れてしまいます。
カーペット
毛足の長いカーペットなどでは、繊維や毛玉がツメや指に絡まりトラブルを招く恐れがあるので、短めのものが良いでしょう。繊維でできたカーペットはもともと汚れやすいのですが、汚れが付きにくいよう防止加工されたものもあります。利用するなら、安いタイルカーペットを汚れたら張り替えると言う風に利用するのがベターでしょうか。
複合フローリング
フローリングの中でもあまりにも薄い表層の合板下地のフローリングだと、少しのキズで合板が露出するかもしれません。露出した合板はトゲが刺さりやすく危険です。
樹脂コーティングされた複合フローリングは傷がつきにくいのですが、床を舐める恐れのある犬の場合、その樹脂自体の安全性は疑問です。また合板を作製する接着剤や樹脂は、シックハウスの一因にもなってます。
それだけでなく、硬い樹脂コーティングやウレタン塗装は表面がつるつるで走り回る犬にとっては滑りやすく危険です。ノンスリップ加工の施されたものもありますので、それを選択したほうが良いでしょう。
おすすめの床材
床には、硬すぎず、滑りにくく、痛みにくく、メンテナンスしやすい素材が求められますが、愛犬家に好まれている床材は、
- 無垢フローリング
- コルクタイル・・・クッション性の良いコルクは足あたりがよく、人間にも快適です。
- 焼物タイル
などが、あります。
無垢フローリング
無垢フローリングに赤ちゃんのおもちゃにも使われる自然系の塗料が人間にとっても安全なのではないでしょうか。表面に塗膜を作らない自然系塗装では木材特有の適度なザラツキが残りますし、表面が擦り切れると寿命となる複合フローリングと違って、無垢材は多少のキズは問題ありません。
薄く表面を削って塗装しなおせば、深いキズ以外はスッキリ綺麗に消すことができます。頻繁にできることではありませんが、薄い表層の合板製のフローリングではできない補修方法です。
焼物タイル
スリッパか下足は別にして、最近はリビングの床をタイルにされる方もいらっしゃるようです。冬の冷たさ対策が必要ですが、耐久性や対汚染性の強さは大きな魅力です。普段から土足で利用するならばほとんどメンテナンスフリーといえます。
壁について
床ほど気を使わなくても良いと思いますが、体が擦れたり、足で引っかいたりするので、床から1mほどの高さまでは、耐汚染性と耐久性が求められます。
腰から下の部分を部屋の雰囲気に合わせて、板張りにしたり、タイル貼にすると良いでしょう。
設備
最近では大型犬も室内で共に生活する方が増えてきました。特に大型犬では雨の日でも雪の日でも散歩が欠かせません。散歩から帰って室内に入るまでに汚れを落とす必要があり、犬が出入りする付近に足洗い場があると便利です。
足を洗うだけでなく、そこでシャンプーが出来ればより便利でしょう。シャワーヘッドの付いた水栓と、お湯が出る設備があればより快適にメンテナンスができます。メンテナンスグッズをしまう収納も設置しましょう。壁にはリードフックをお忘れなく。
小型犬をしゃがんでシャンプーするのは意外と疲れるものです。そこで、脱衣場内やその付近にステンレスや陶器製のシンクをシャンプー台として設置すると便利です。愛犬のシャンプーだけでなく靴を洗ったり、雑巾を使う掃除槽にも使えて便利です。
以前農家の方の住まいで、勝手口の外に畑で採れた野菜を洗うためのシンクと汚れた長靴などを洗うための足洗い場を設けました。足洗い場に温水の出るシャワーを追加するなど少しの工夫で、愛犬家にはとても便利なメンテナンス空間となりそうです。
シンクは、一般のご家庭だと雑巾やスニーカーなどを洗ったりするのに便利です。ただ、犬の世話だけを考えると、シンクのない作業台の方がシャンプーはし易いかと思います。
これらの設備の設置場所は、玄関付近では他の方の視線が気になり常に綺麗にしておかないといけません。勝手口の横ですと多少散らかっていても気になりにくいかと思います。犬との出入りも勝手口を使うと便利です。愛犬を家に入れる前にさっと足を洗えます。また、室内では臭いが気になるペットシーツなどのゴミ置き場も確保できます。