無垢フローリングの樹種の選び方
公開日:2012.03.05最終更新日:2018.09.13
無垢のフローリング材には、結構多くの樹種が使われています。
和風にするか?洋風にするか?
和風の縁甲板
伝統的な和の住まいの縁甲板(フローリング)は、松(赤松)・桧・ひばなど針葉樹が一般的です。
縁側の床板と言えば松の柾目の縁甲板です。近年、松くい虫のおかげで松のダメージが大きく国産の松の縁甲板の入手が難しいようです。替りに、輸入材のラオス松が人気でしたが、コレも近年かなり入手困難になったようです。松科の輸入材には他にパインフローリングがありますが、松の縁甲板やラオス松とは見た目の雰囲気が異なってしまいます。パインフローリングは最近増えてきた国産カラマツの床材に近い雰囲気です。
和風で変わったものでは竹がありありますが、積層材ですしほぼウレタン塗装が施されており純粋な無垢フローリングとは言いにくいモノです。
洋風のフローリング
洋間(今どき洋間とは言いいませんね)のフローリングでよく見かけるのは、木目のはっきりしたオーク(ナラ)やアッシュ(タモ)です。最近は明るく柔らかい表情のバーチ(カバ桜、樺)やビーチ(ブナ)が流行っているので、オークのフローリングには古風なイメージができているかもしれません。
独特の渋く黒い色目で重厚感のあるブラックウォルナットやその反対に色白できめ細かな優しい表情のメープル(楓)等は高級ですが独特の雰囲気が造れるので人気のフローリングです。
間をとって和洋折衷
桧、松は古くから日本の建築物で利用されていましたので見慣れており和のイメージを強く受けます。ブラックウォルナットは洋のイメージが強くなります。たしかに和洋どちらかのイメージが定着した樹種が一部あります。
しかし洋名の横に()入りで和名を併記したように西洋のフローリング材と同様の木は日本にもあります。どちらにも生息している木なので多くは和洋気にせず利用することができます。ただ、広葉樹の床材は素足に硬く感じるためか古い日本ではなじみが薄く、広葉樹のフローリングはどうしても和のイメージが薄く洋風のイメージが強くなりやすいとは思います。
松というと和のイメージになりますが、パインと言うと北欧のイメージが強くなります。伝統的な和の空間や流行の北欧のイメージを作るとかは材料を吟味する必要がありますが、多くは見た目の好みで選んでも和洋のイメージを大きく崩すことはないと思います。
針葉樹・広葉樹の違い
針葉樹
一般的に針葉樹は柔らかく温かみがあるので足触りがよく素足で生活する空間にお薦めです。その反面、傷がつきやすいので、脚先の細いイスなどを利用する場所には注意が必要です。思わぬものでは底鋲のついたバッグを勢いよく床に置かないようにしないといけません。キャスターを使う部屋には不向きです。子供部屋の勉強机など、どうしても針葉樹の無垢材の部屋でキャスターを利用する場合は、厚手のマットなどを敷いて保護しておくと多少は防げます。見た目を気にしないのでしたらプラスチック樹脂でできたオフィス用のチェアマットがあります。
針葉樹-檜、松、ひば、ラオス松、パイン などなど
広葉樹
一方、広葉樹は硬く傷がつきにくいので、イスを利用するダイニングや子供の勉強部屋にも安心です。ただ、いくら硬いといっても、金属の脚や先の細い脚の家具、キャスターには注意が必要です。キャスターはフローリングにも優しい素材の利用が傷がつきにくく安心です。
硬い分、足触りも固く冷たく感じるので素足で生活する空間には不向きかもしれません。中には、土足歩行にも対応できるフローリング材もあり、これらはさらに硬く丈夫です。
広葉樹-オーク(楢・ナラ)、アッシュ(タモ)、ビーチ(ブナ)、バーチ(カバ桜、樺)、チェスナット(栗)、ブラックウォルナット、メープル(楓)などなど
針葉樹と広葉樹のどちらにするか
輸入材まで含めるとかなり様々な樹種がフローリング材として流通しています。その中で素足で過ごす日本人にはやはり国産の針葉樹の床材が向いていると思います。広葉樹は裸足で過ごすには硬すぎます。歩いて硬いくらいですので、床に直接座ったり寝転んだりする場所には向きません。
歩き回る廊下などやくつろぐ部屋には針葉樹の床材を利用し、キャスターを使う個室や納戸の床のみ硬い広葉樹を利用するのがお薦めです。
同じ樹種でも雰囲気に違いが出ます
その他に板目や柾目などの木目や木そのものの色味によってもイメージが異なります。また針葉樹には節が入っていることが多く、節の有無によってもイメージがずいぶん違います。
ただ、自然の木なので木目や色味は産地によっても異なりますし、同じ産地でも山の北側か南側かによっても雰囲気に違いが出てしまいます。出荷時のロットによって微妙に雰囲気が異なってしまうので、最終的には床貼りをする前に実際にサンプルを取り寄せてイメージに合っているかを確認する必要があります。
また、天然オイルでの着色もでき、色が違うとずいぶんとイメージが違ってきます。コレも実際に試し塗をして確認する必要があります。ちなみに、私は素材感を活かした設計をしているのとできるだけ自然な素朴な住まいを心掛けているので、着色はせずクリアー塗装か蜜蝋ワックス掛けなどを採用することが多いです。
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最近よく床材に杉が利用されていますが、長期的な面で問題があると思います。杉は大変柔らかく足触りがよいうえに温かみがあり木目も綺麗で安価と一見良いことづくめに思えます。ただ、少し柔らかすぎるように思えます。ちょっとした物を落としたり、重い物を床の上に置いただけでも簡単に凹みます。ダイニングなど気を使わずに椅子を動かすと早々に傷だらけです。また、柔らかい割には木目部分が固く残る事がありささくれだち易くトゲになる事があるようです。
これらの問題を解決するために、熱をかけて圧縮したフローリング材が開発されています。これではせっかくの杉の特徴を殺してしまい、見た目だけしか残りません。杉の見た目がどうしても欲しいということで無ければこの杉の加工品でなくても良いと思います。
杉をフローリングとして活かすのでしたら、一般的な無垢フローリングの厚み15~18mmに加工して利用するのではなく、40mmの厚板で利用する。伸び縮みが大きいのでそれをよく知っている大工さんに貼ってもらう。塗膜を作る塗装は厳禁、自然オイル系の保護材を染み込ませてこまめにメンテナンスをする。そしてどんどん削れていくのを味わいとして感じる。ということが必要ではないかと思います。
フローリングを剥がして貼り直すことは簡単にはできません。私は30年以上使い続けてもらうことを前提に考えているので、安いからという理由ではお薦めできません。