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無垢フローリングの価格差の理由

公開日:2012.06.11

無垢フローリングの写真

以前は見た目の雰囲気を重視した無垢フローリングの選び方を紹介しましたが、採用する時に重要な検討事項はコストだと思います。

無垢フローリングには、比較的安価なものからかなりの高級品まであります。また、同じ樹種でも大きな価格差があります。様々な要因から価格差が生じています。価格差の理由を知って、我が家に合ったコストパフォーマンスの良い床材を選びましょう。

木の産地と樹種による価格差

多く生えていてたくさん採れる木は安価で、数が少ないほど高価になります。また、成長の早い木はその分たくさん採れ安価になり、ポピュラーでも成長が遅い木はその分高価になります。

一般的には針葉樹は成長が早いため比較的安価で、広葉樹は成長が遅く高価な傾向にあります。

国産材

国産材では、圧倒的に杉と檜の植林の量が多く安価に安定して出回っています。杉と檜では、杉の方が成長が早く植えられた量も多いのでより安価に供給されています。

ポピュラーな杉・檜以外でフローリング材に使われているのは、針葉樹では松(黒松、赤松)・カラマツ、広葉樹では栗・楢・タモなどが比較的出回っていますが、杉やヒノキと比べると高価になりがちです。国産材が見直されるとともに、各地で計画的な植林が進みブランド化された商品が出回るようになってきました。

参考例(材料価格)

輸入材

海外には広大な森林に大きく育つ木が多くあり、輸入材がかなり安価に入ってきています。輸送手段が確立されその伐採地域はどんどん拡大し、新たに建材として利用される樹種も増えています。しかし、近年自然保護が注目されると共に森林保護のため伐採を禁止したり制限する地域や樹種が急速に増えてきています。今まで安価で入手できていた樹種も価格が高騰したり入手困難になったりしています。その一方、計画的に植林伐採をし安定して供給する地域・樹種がでてきました。

輸入材は自然樹の伐採物から計画植林からの供給にシフトしています。輸入材も次第に安価なものではなくなっていきそうです。

輸入材はヨーロッパなど遠方から輸送してくるコストも含まれています。ブラックウォルナットやメープルのような輸入品にしかないような樹種は仕方ないとしても、オーク(楢)やチェストナット(栗)、アッシュ(タモ)のように国内に同等の樹種があるものは積極的に国内産を採用したいところです。

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樹木の特性や品質の差から、同じ樹種でも大きな価格差が生じます。

節(生き節)

節には、生きたままの枝を包んで成長し木目が一体化した生き節と枯れた枝を包んで成長したものが節となって表れた死に節があります。死に節は、黒く腐っていたり、抜け落ちてしまったりするので建材として利用する場合は補修が必要です。

節の有無やその量により価格が異なります。節有り材は安価で、節の無い板を選りすぐった無節として出荷されるものはかなり割高になります。節を含む材でも、大きな節が目立つ「節有り材」は安価で、節が小さく数も少くほとんど節が気にならない「小節材」「上小節材」は「無節材」並みに高価です。

参考例(材料価格):檜(国産)
死に節の補修

死に節は、他の木や樹脂で埋めて補修します。他の木や枝で補修したものの方がより自然で、樹脂を用いた補修は違和感があり結構目立ちます。補修した材をふくむ物は、かなり安価で入手することができます。

カウンター材等では補修跡をわざと強調させるために樹脂を使うことがありますが、フローリング材で樹脂補修の物は避けた方が良いと思います。

無節のフローリングを貼ると高級感のある綺麗な空間となります。少し緊張感があるかもしれません。程よく節の入ったフローリングは親しみやすさがあります。しかし、あまりにも節が多すぎると賑やかで落ち着きがなくなってしまうので節の多いフローリング材は雰囲気をよく考えて採用したほうが良いでしょう。

座敷回りなどの格式ある空間や上品に造りたい時には無節材、居間など普段使いのカジュアルな空間では節が少なめの節有り材か小節材がコストパフォーマンスが良いのではないかと思います。

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心材と辺材

樹木の特性や品質の差から、同じ樹種でも大きな価格差が生じます。

心材と辺材

木の中心付近のある程度成長して成長が止まり赤味が強い部分を心材と言います。その周囲のまだ成長し続けている白っぽい部分を辺材と言います。心材は腐りにくく、辺材は虫や菌に弱い性質があります。杉等はこの赤白の差が顕著ですが、中には見た目の区別がつきにくい樹種もあります。

赤い色味が綺麗なことや防腐性能が高いことなどから、建材では心材(赤身)が好まれます。総赤身といい白い辺材を含まないよう材の全てを心材から取るには、その分直径の大きな原木が必要です。樹齢の高い大きな木ほど貴重ですし、また中心部分しか使わないとなると量も限られ総赤身はより貴重で高価になります。

源平材

白い辺材を含んだ材料だと小径木からも採れますしロスも少なく安価になります。心材と辺材の混じった材は紅白になることから「源平材」と呼んでいます。

最近は、心材と見た目が同じになるように辺材の白身部分を着色する技術や、逆に心材を漂白し淡色化して紅白の差を少なくする技術もあるようです。比較的安価に赤身材や白身材が手に入ります。

参考例(材料価格):ラオス松(柾目・無節)

色味が整った総赤身のフローリングはやはり綺麗です。引き締まった高級感のある空間が作れます。心材と辺材の色の差が少ない樹種を選んでも同じような効果があります。源平材は少し賑やかなのでカジュアルな雰囲気になります。落ち着いた重厚感を求める空間には不向きでしょう。

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一枚の大きさ

巾の異なる床板

幅の広い板を作るには、その分大きな原木が必要です。幅が広く面積が大きいほど節が出る可能性も大きくなります。幅が広いほど無節の板は貴重になり、節がある板の割合は増えてしまいます。巾の狭い板は、小径木からも取ることができますし、節が含まれたものを取り除いても無駄が少なく済みます。

参考例(材料価格):オーク(楢)、無節

同様に、長い板は長い原木からしか取れませんが、短い板は原木が短くて済むだけでなく、長い板を取る際にキズ(節や割れなど)のあった部分を取り除いた残りからも取ることができロスが少ないと言えます。

上へ上へと直通に成長する針葉樹では長い材が取りやすいですが、曲がりくねって育ったり横へ枝を広げていく広葉樹ではもともと長い材が取れない場合もあります。

参考例(材料価格):檜(国産)、無節

このように床板一枚当たりの幅が広いもの・長いものは割高になり、狭いもの・短いものほど割安になる傾向があります。

幅広で長尺なフローリングを貼る方が目地が少ないぶん高級感があります。巾が100mm以下の物は目地が多すぎてチープな印象を受ける可能性があるので、できるだけ巾100mm以上の商品を選ぶ方が良いと思います。

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UNIとOPC

UNI材

短い材を縦方向に繋ぎ合わせて一枚のフローリング板に加工したものがUNI(Unitedの略)材です。短い材を繋ぎあわせて作るので、節や割れなどの悪い部分を取り除くことができます。また無駄になる木がかなり減ります。

悪い部分は取り除かれますし短い材料を数多くジョイントするので均質化が図れ、ソリが出にくいようです。

無駄が少なくフローリング材を作れるのでUNIタイプは比較的安価な材が多いのですが、長い板の確保が難しい広葉樹のフローリングにも多くUNIタイプが作られています。

UNI材に対し、繋ぎ目のない一枚ものの無垢フローリングをワンピース(OPC)材や一枚物と言います。

参考例(材料価格):バーチ(樺)無節L=1,820mm
参考例(材料価格):ブラックウォルナット無節L=1,820mm

価格の参考例のように、UNI材はかなり割安で魅力的です。UNI材を採用するときは、出来るだけ長い原木を用いたつなぎ目の少ない商品を採用すると良いでしょう。また、フローリング同士の突合せ箇所のように繋ぎ目に目地を施し、貼り終えるとUNIとは気づきにくい商品もあります。

UNI材も無垢には違いないのですが、数十センチに細切れにした材を繋ぎ合わせた加工品は自然な雰囲気を失っているように思います。また純粋な無垢材とも言いにくく、複合フローリングのように見える見た目が個人的には好きではないのであまりお薦めしていません。傷つきにくい床が必要で見た目にこだわらない納戸に安価で硬い広葉樹のUNI材を使うことがあります。

ワンピース材は一定の長さに加工された定尺サイズが一般的ですが、長さを揃えていない乱尺サイズもあります。UNI同様、節や割れなどのキズのある部分を取り除くことができ木材を有効に利用できます。UNI材との違いは、材が短く板の枚数が多いので大工さんの貼り手間が増えます。

国内製品では乱尺サイズは少なく、ヨーロッパの輸入品に多いようです。UNI同様短い材が多いと目地が多く高級感に欠けるので、あまりにも短い材が多い製品は避けたほうが良いでしょう。

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