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裸足のススメ

床に裸足の写真

家の中ではごく普通にスリッパを履かれていると思います。私は、どうもスリッパに馴染めません。何かと不便を感じます。最近はルームシューズと称して履き心地を良くしたものもありますが、一般に売られているスリッパは履き心地が悪いです。耐久性は低く、数か月で底がペロンペロンになったり、剥がれたり、擦り切れたりします。また、足にフィットしていないので階段の上り下りの際に引っかかって危ない時があります。実際私の母親は階段を上がるときには下でスリッパを脱いで裸足で上っているようです。

足裏にゴミが付いたり汚れたりといったことを防ぐためや、冬の冷たさ対策にスリッパなどの室内履きが必要なのかもしれません。また、最近の住宅の床は複合フローリングや塩ビシートや塩ビタイルなどのように表面が樹脂で覆われており、裸足で歩くと素足に貼りつくぺたぺたとした不快感があります。そのような床は特に冬になるとよりひんやりとした冷たさを感じさせます。このような床では、どうしてもスリッパが必需品なのだと思います。

スリッパの起源

江戸末期から明治以降、鎖国が解け外国人が日本に来る機会が増えました。それと共に外国人が靴(外履き)のまま建物内に上り込むトラブルが増えてしまいます。そこで、玄関で外履きの上からスッポリ覆って履くように考え出された室内履きがスリッパだそうです。ですから、スリッパは日本発祥のモノです。

日本人が一般的にスリッパをはくようになったのは昭和の半ばで、団地ブームなどで日本の住宅が西洋化しだしてからのようです。今では普通に使われているスリッパも実は意外と新しいもののようです。

私はスリッパ嫌いです。実を言えば靴下もくつろぐ時には履きたくないくらいです。が、現在の住まいの床が複合フローリングのため裸足では不快感の方が勝ってしまい、不便を感じながらも室内履きを利用しています。残念ながら裸足の生活は実現していませんが、将来自邸を建てる機会があれば裸足で過ごせる家にします。

同感いただける方も多いとも居ますがいかがでしょうか?

素足で暮らす家の床材

裸足で歩くには、硬すぎずある程度柔らかさのある床の方が体の負担が少なく楽になります。表面は適度なざらつきがあり、貼りついてぺたぺたしない床が快適です。床材表面の適度な凹凸は滑り止めにもなり安全性も高くなります。

そのような裸足で歩いて心地よい床材には、無垢の木の板(縁甲板)や畳、絨毯(カーペット)等があります。

無垢縁甲板

樹種

杉の無垢縁甲板

素足に向いているのは、比較的柔らかく足触りが良い針葉樹の縁甲板になります。広葉樹は一般的に堅い木が多く、ひんやりと冷たさを感じさせます。

国産で普及している針葉樹の縁甲板は桧と杉、次いでカラマツなどがあります。中でも、檜は柔らかく優しい色調が綺麗ですし足あたりだけでなく香りも良くお薦めです。杉は比較的安価で入手可能な上、柔らかく木目も美しく床にしても綺麗だとは思います。個人的には好きな樹種です。しかし、木目の繊維質の部分が硬く、長く使ううちに棘がたちやすいようです。

針葉樹の中でも、柔らかさと調湿性で有名なのが桐です。桐の床材も市場に存在し、比較的容易に入手可能です。足あたりは柔らかくヒンヤリとした冷たさを感じさせませんから素足で歩くにはとても快適だそうで、直接座ったり寝転んだりしてもあまり痛くないようです。反面、柔らかいために傷がつきやすく、どこにでも誰にでもとお薦めできる床材ではありません。

いずれにしても足あたりの良い柔らかい縁甲板は、傷のつきやすさとトレードオフになってしまいます。傷がひどくなると裸足に棘が刺さるトラブルも増えてしまいます。無垢の板で傷が軽い場合はサンドペーパー掛けなどで補修することも可能ですが、ひどい場合は簡単には対処できません。

表面仕上げ

いくら無垢の縁甲板を使ってもウレタン塗装の様に表面に塗膜を作るタイプの塗装はお薦めできません。プラスチックで表面をコーティングしてしまいますのでぺたぺたしてしまいます。

無垢の縁甲板に良く利用されているのは自然素材系の保護塗料です。自然素材系の保護塗料は天然由来のオイルが主原料で古くから亜麻仁油やえごま油なども用いられています。空気に触れることで硬化乾燥する油(乾性油)が用いられており、乾燥すると油自体のベタつきは無くなります。撥水性が生じ汗は吸いませんが、塗膜を作らないため表面の自然な凹凸感は損なわず足触りの心地よさは残ります。天然オイルを染み込ませたものは数年毎に塗り直しなどのメンテナンスを行うと木材がバサつかず長期間良い状態を維持できます

素足に快適なのは無塗装ですが、特に使い始めてしばらくは床が汚れるのが気になってしまいます。防汚処置と艶出しのため、蜜蝋ワックス掛けやぬか袋で磨いたりといったメンテナンスを行うと良いと思います。蜜蝋ワックスなどは半年から1年程度で塗り直しを行うとよいでしょう。ぬか袋は数日から1週間に一度などこまめに磨いていただくと木材に綺麗な艶が出て愛着が増します。

桧はもともと塗装がのり難いこともありますし、オイルを染み込ませたとしても桧の風合いが損なわれがちですので仕上げはワックス程度に留めたほうが良いと思います。

畳床のリビングルーム

肌触りの良さ、適度にクッションが効いており柔らかな踏み心地は素足にはとても心地よい床です。それだけでなく直接座っても、寝転んでも快適です。

ただ、新築時に床の間のある座敷を造るご家庭も少ないでしょうし、室内に畳が一枚もない家は多いのではないかと思います。タンスなどの家具を置くと沈んでしまうのも避けられる理由でしょうか。

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絨毯(カーペット)

絨毯(カーペット)

数十年前私が子供の頃は絨毯の敷かれた部屋は良くみられたのですが、最近では全面に絨毯の敷かれた床はあまり見られなくなっています。新築の場合は設計段階で候補に上ることもありません。

埃が毛足の中に沈み込んだり髪の毛などが絡み付き掃除機では取り難いですし、汚れた場合のクリーニングも簡単ではありません。綺麗さを維持にしくいのが絨毯の大きなデメリットでしょう。また、絨毯がダニの温床になることも嫌われる一因です。また毛足の長いふわふわしたカーペットでは家具など置きにくいですし、家具の足型が付いてしまうことも不都合です。

嫌われる要因は多々あるのですが、素足でカーペットを歩くととても心地よいです。歩くだけでなく、座ってもゴロゴロ寝転んでもソフトで快適です。家具への対策として設計段階であらかじめ部屋に置く家具とそのレイアウトが決められる場合はそのスペースを板張りにしておくことで家具を置くときの不安定さや置き癖がつくことを避けられます。

床のカーペット貼は避けられていますが、フローリングの一部分にセンターラグという形で敷物を愛用している方は多いと思います。床に貼りつけず据え置く形で使い季節ごとにお気に入りのラグに置き換えたり、汚れた時には洗わずに買い替える事もできます。気楽なスタイルが受け入れやすいのでしょう。

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