高砂の家|片麻痺の方が自立して暮らす家
いきさつ
当初、建築主はハウスメーカーで設計施工を進められていました。片麻痺となられた奥様が安心して生活できる家を希望されていましたが、そのハウスメーカーでは思うような設計をしてもらえず困っていらしたそうです。その様子を見かねた遠くに住む建築主の親戚の方が当事務所をネットで知り、建築主に「一度相談してみれば」とアドバイスされたそうです。そして、当事務所にお問い合わせを頂きました。
一度ラフプランを見ていただいた後、設計の依頼をいただきました。ただ、もう間もなく奥様が退院されるとの事。麻痺は残ったとは言え、それ以外は健康な体ですのでいつまでも病院には入院させてはくれないそうです。現在お住まいの家を片麻痺の方が暮らせる家に改修するのも様々な事情で不可能で、今の家での奥様の生活は大変不自由が強いられますし、家族の介助の負担も甚大です。一刻も早く奥様が安心して暮らせる家を用意しなければなならないとの事です。
とは言え、急いで不十分な家を完成させてしまうと、今後ずっと不都合を抱えたまま生活することになります。そのため、時間は短く中身の濃い設計作業が求められました。短期間での設計だけでなく、できるだけ工期の短い工法・材料で一日も早く竣工が求められます。本来でしたら、こういう方にこそ自然の木・土の家に住んでいただきたいのですが、そればかりに強く拘るわけにもいきません。一刻も早くそしてより安く家を完成するための材料選択となりました。
身体障害対応
ご主人と片麻痺(右麻痺)になられた奥様のご夫婦が安全かつ安心して生活するための住宅です。奥様が積極的に行動できる家を目的に、一人で日常の生活行為ができるよう機器やいす・補助手摺などでサポートします。現在奥様は杖をお使いですが、将来的にも安心できるよう内部は車椅子に対応しています。
その後
検査や軽微な補修などで何度かお邪魔しましたが、建築主は「我が家がとても便利なので、出かけていった先の家が不便に感じて仕方が無い。」とのお言葉を頂きました。毎日奥様も自宅でリハビリに励んでいらっしゃるそうです。生活の基本は、奥様一人でほとんどできるそうなので介助の負担もほとんど無いそうです。
そんな感想を聞いて、本当に安心しました。
当然この家は大変使いやすいプラン(平面・間取り)です。子供が少ない現代の家族には室数からも十分です。一番住み易く自邸として欲しいと思えるのがこの家です。(自画自賛ですが。)
工事種別 | 新築 |
---|---|
構造・規模 | 木造在来工法・2階建て |
延床面積 | 118.18 ㎡ (約36坪) |
建築面積 | 72.98 ㎡ |
設計期間 | 7か月 |
工事期間 | 5か月 |